本当は今回のエントリの前に、「CRMとは何か?」ビジネスの視点でお話するエントリを用意していたのですが、
ここ最近、Exchange Server 2010 の手軽さにハマってしまったので、Blogネタが前後してしまいました。
そんな経緯もあり、今回はExchange Server とも連携しているDynamics CRM 4.0のコンポーネント
「E-Mail Router」の導入手順について紹介したいと思います。
(CRMビジネスの話はまた次回のBlogネタに取り上げます orz)
E-mail Routerとは?
ところで、この「E-Mail Router」とは、いったい何をするものなのでしょうか?
一言で言ってしまうと、「Dynamics CRM と 電子メールサーバーとのインターフェイスを提供する、いわば専用コンポーネントみたいなもの」です。
主な特徴としては、Exchange Server との連携ができるというのが売りなんですが、
Dynamics CRM 4.0 からは、 Exchange Server 以外のメールサーバーでも連携できるようになりました。
(普通にSMTPとPOP3 を構成しているメールサーバーなら何でもOKです。)
何故、Dynamics CRM にE-mail Routerが必要なのか?
そもそも何故、Dynamics CRM に、「E-mail Router」のようなコンポーネントが必要なのでしょうか?
業務の視点で考察してみましょう。
多くのCRMパッケージの場合、電子メールとCRMシステムを完全に分離しています。
「メールを顧客に送信する」機能は持っていたとしても、「送信したメール」をCRMのレコードとして保存しているケースは少ないように思います。
CRMとメールを切り分けている背景としては、社内のインフラ管理形態、セキュリティの問題、またはCRMシステム構造上の問題で、
別々のオペレーションをさせられているケースが考えられます。
ただし、システム的にはそれで良くても、現場で働く営業さん・オペレーターさんにとっては、決して有り難くはない話だと思います。
少なくとも現場にいる面々は、システムに情報入力する時間よりも業務に費やせる時間の方が欲しいはずですから。
CRMやシステムのせいで、本来やるべき業務
(営業さんなら商品の販売や売上計画を立てる、オペレーターさんならお待たせしている顧客に対応)が
できなくなってしまった・・・ そんなの嫌ですよね?
私も一時期、IT業界から身を引いていた時期があり、その時、アルバイトとして、某大手通販会社の電話オペレーターをやっていました。
もちろん某大手通販会社でも顧客管理の一環としてCRMを使用していたのですが、
いろいろと面倒な画面入力を強いられ、お客様の情報とCRMが紐づかないことも しばしありました。
(メールしたんだけど・・・というお客様からの問い合わせを受けた時は、結構困りました。
どのメールアドレスにお客様がメールしたのかわらなかったため、お客様に手間を取らせてしまったこともあります)
このような問題をなくすため、「Dynamics CRM E-mail Router」では、電子メールでやり取りした内容を
CRMに自動紐付けしながら保存する機能が用意されています。
(Outlookで受信したメールをそのままDynamics CRM のレコードとして保存する機能が用意されているので、
メールを主体とした管理・運営を行うことができます。)
さらに、CRMに紐づける必要がないメール(紐づけたくないメール)であれば、
メールサーバーのフィルタリング機能(ルール)を使って除外することができます。
フィルタリング機能(ルール)は、Email Router にそのまま適用することができますので、
メールを仕分けるために何かをする必要はありません。
送受信された電子メールの内容は、Email Router と 指定した転送メールボックス(メールアドレス)を介して、
Dynamics CRMの「キュー」と呼ばれるエリアにレコードとして保存されます。
そのキューにたまった電子メールデータを「活動レコード」や「取引先(顧客)」「サービス」「サポート」「マーケティング」といった領域に
展開することができます。
一般的なCRMパッケージの呼び名だと「活動レコード」は「タスク」という呼び方をしていることが多く、
また、「サービス」「サポート」「問い合わせ」等の 案件を「インシデント」という呼び方をしてることもあります。
Dynamics CRM では、「インシデント」「タスク」という呼び方はしていませんが、概念的には他のCRMパッケージとまったく同じです。
たとえば、顧客からの「サポート案件」を営業担当者がメールで回答した場合、回答したメールの内容を「E-mail Router」を介して、
活動レコード(キュー)に保存、その後、どの案件(インシデント)のどんな活動(タスク)をしたのか?
Dynamics CRM 内の任意レコードに紐づけることができます。
Office製品やDynamics CRMを使い慣れている従業員/ユーザであれば、
メール一本で一元的な情報管理を行うことができる!というわけですね。
ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、ここまで説明しないと「E-mail Router」の必要性と導入意義を
ご理解頂けないと思い、実際の運用を例にお話させて頂きました。
今回は、Outlook側の導入手順は触れませんが、「E-mail Router」をサーバー側で導入する手順について、ご紹介させて頂きます。
(IISとExchange Serverの基礎知識がないと苦しいかもしれませんが・・・)
Dynamics CRM 4.0 E-mail Routerインストール手順
Dynamics CRM 4.0 のメディアをセットし、「E-mail Routerのインストール」を選択する
[インストール ファイルを更新する]を選択する
[ライセンス条項]を読み問題がなければ、[同意する]を選択し、[同意する]ボタンをクリックする(なんだか変w)
[インストール]ボタンをクリックし、その後、[次へ]ボタンをクリックする
[Microsoft Dynamics CRM Email Router サービス]と[メール展開ウィザード]を選択し、[次へ]ボタンをクリックする
インストール先のフォルダを指定し、[次へ]ボタンをクリックする
システム要件を満たしていれば[次へ]ボタンをクリックする。もし、エラーが発生した場合はインストールを中断し、原因を追及してください。
[インストール完了後に・・・]のチェックをONにし、[インストール]ボタンをクリックする
下記のようなメッセージが表示されれば、インストール完了です
「E-mail Router 構成マネージャ」の設定と各種エラーの対応策
[E-mail Router 構成マネージャ]の[構成プロファイル]タブを選択し、[新規]ボタンをクリックする
受信構成プロファイルをメールサーバーの仕様に従い作成します。
(下記例はExchange Server 2010でEWS(Exchange Web Service)を使用した例。
Exchange Server 2007, 2003 でEWSを使うにはExchange Serverをインストールしたサーバーに
IISとWebDAVを有効にする必要があります。)
※もし、Exchange Server 2010 のEWSを使った受信構成プロファイルで、後述する「アクセステスト」が
うまくいかないという方は「更新プログラム ロールアップ8」と「更新プログラム ロールアップ8 (E-mail Router) 」を
インストールしてみてください。
Exchange Server 2007 までは、 WebDAVが対応されていたのですが、
Exchange Server 2010からは、 EWS (Exchange Web Services)に 切り替わっているので、アクセステストがエラーになっていると思われます。
EWS(Exchange Web Service) でEmail Routerを構成するには「更新プログラム ロールアップ8」の適用が絶対条件になりますので、
Exchange Server 2010 をご利用の方はご注意ください。
詳しい話は「Japan Dynamics CRM Team」さんのBlogで紹介されています。
更新ロールアップ8 入手先:
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=c53b2916-6b93-4092-bdd3-a394c96ca000
更新ロールアップ8適用後の受信構成プロファイル設定画面
(Exchange Server 2010 向けに「プロトコル」項目が追加されているのがわかります)
送信構成プロファイルをメールサーバーの仕様に従い作成します。(下記例はExchange Server 2010の例)
※SMTPでSubmission Port を使用したい方は、587 を指定します。
そこは導入しているメールサーバーのSMTP設定状況次第だと思います。
Exchange Server 2010を標準導入した場合は、25ポート指定でOKです。
[展開]タブをクリックした後、[新規]ボタンをクリックします。
Dynamics CRM を「Microsoft Dynamics CRM Online」やSaaS形式?(って言っちゃって良いのか?)で利用している場合は、
[展開]の項目に、[オンライン サービス プロバイダ]を設定します。(たぶん)
自社内にDynamics CRM をインストールしている設置型の場合は「自分の会社」 を選択、
[既定の構成プロファイル]には、上記で作成した受信構成プロファイルと送信構成プロファイルを指定すればOKです。
[ユーザ、キュー、転送用メールボックス]タブ→[ユーザとキュー]タブをクリックし、[データの読み込み]ボタンをクリックします。
その後、データ転送用のメールアカウントが表示されるのを確認したら、[転送用メールボックス]タブをクリックし、
[転送用メールボックス]を作成します。

後は、[アクセステスト]ボタンで、 メールサーバーとの通信が正しく行われていることを確認します。
※もし、[データの読み込み]ボタンで[ユーザとキュー]タブに何も表示されなかった場合、
Dynamics CRM のWeb画面にアクセスし、[設定]領域の[ユーザ]を選択または新規作成します。
その後、画面に従い、メールボックス転送専用のユーザを新規作成します。
ユーザを作成する際、「電子メール アクセス構成]欄のうち
受信側:「転送用メールボックス」送信側:「E-mail Router」にするのをお忘れなく!
転送用メールボックスとは、Email Router が使用する共通のメールボックスだと思ってください。
「転送用メールボックス」が1つ設置してあれば、Dynamics CRM に必要なすべてのメールを
管理することができます。管理側の手間が減るのでできればこちらの設定を推奨していると
MSサポートさんに言われましたw
Exchange Server 2010で動かす場合の事前設定手順については、「Japan Dynamics CRM Team」さんの
Blogで紹介されていますので、併せてご確認ください。
(RBACベースのアクセス制御に準じた設定方法が紹介されてます)
ちなみに私は、今回、下記のようなRBACをPowerShellコマンドレットを使って設定しました。
(実行は、Exchange Management Shellから行いました。)
Remove-ManagementRoleAssignment "ImpersonationName"
Remove-ManagementRoleAssignment "MyBaseOptionsImpersonationName"
Remove-ManagementRoleAssignment "MyContactInformationImpersonationName"
Remove-ManagementRoleAssignment "MyTextMessagingImpersonationName"
Remove-ManagementRoleAssignment "MyDistributionGroupMembershipImpersonationName"
New-ManagementRoleAssignment –Name: "ImpersonationName" -User "crm_test@crm.techbank.jp" -Role:"ApplicationImpersonation"
New-ManagementRoleAssignment –Name: "MyBaseOptionsImpersonationName" -role MyBaseOptions -user "crm_test@crm.techbank.jp"
New-ManagementRoleAssignment –Name: "MyContactInformationImpersonationName" -role MyContactInformation -user "crm_test@crm.techbank.jp"
New-ManagementRoleAssignment –Name: "MyTextMessagingImpersonationName" -role MyTextMessaging -user "crm_test@crm.techbank.jp"
New-ManagementRoleAssignment –Name: "MyDistributionGroupMembershipImpersonationName" -role MyDistributionGroupMembership -user "crm_test@crm.techbank.jp"
「Japan Dynamics CRM Team」が紹介している「Impersonation」というロール権限だけを
付与するやり方でも良かったのですが、私の環境ではうまく動かなかったため、その他にも関連するRBACを付与してみました。
※さらに、アクセステストでエラーが出てしまった場合は、構成プロファイルの設定内容やDynamics CRMの転送ユーザ情報、
IISの設定内容、Exchange Serverの設定内容と構成を見直してください。
(IISやExchange Server に対する知識がないと相当苦しい思いをします。簡単そうに見える半面、ハマった時の難易度高いです。)
また、[アクセステスト]のエラー内容を調べる方法ですが、 下記をやってみてください。
1.「Microsoft CRM Email Router」サービスを止めてから、
「%Program Files%\Microsoft CRM Email\Service\Microsoft.Crm.Tools.EmailAgent.xml」 という設定ファイルに
ログ(トレース)出力モード(LogLevelとLogFileノードを追加)を設定
<ProviderConfiguration deploymentId="3580526f-629d-4f30-843a-dca057b7dd14">
<ProviderAssembly>Microsoft.Crm.Tools.EmailProviders.dll</ProviderAssembly>
<ProviderClass>Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangePollingMailboxProvider</ProviderClass>
<CrmServerUrl>http://crm-server:5555/crm/</CrmServerUrl>
<CrmSecureServerPort>0</CrmSecureServerPort>
<CrmAuthMode>WindowsAuthentication</CrmAuthMode>
<EmailServer>http://crm-server.crm.techbank.jp/EWS/Exchange.asmx</EmailServer>
<EmailAuthMode>WindowsAuthentication</EmailAuthMode>
<EmailUser>CRM\crm_test</EmailUser>
<EmailPassword>{2A48C4DB-F2BF-48DF-A8EF-20F531EA9BAA}:Wx14HgYjREp9Fp94NZ0jCQ==@CTrPJneCP6EM63fAl+Vhiw==</EmailPassword>
<EmailAddress>crm_test@crm.techbank.jp</EmailAddress>
<Target>メールボックス 転送用</Target>
<Direction>Inbound</Direction>
<LogLevel>3</LogLevel>
<LogFile>C:\Smile\EmailRouter.log</LogFile>
<CacheCapacity>1024</CacheCapacity>
<IsForwardMailbox>false</IsForwardMailbox>
2.「Microsoft CRM Email Router」サービスを再起動
(コマンドで、NET STOP MSCRMEMAIL → NET START MSCRMEMAIL を実行しても再起動できます)
3.[アクセステスト]ボタンをクリックし、アクセステストを再実行する
すると設定ファイルで指定した場所にログが出力され、エラー原因を追及することができます。
★ログ出力を有効にしたうえで行ったアクセステストの結果
02/01/2010 10:10:33 : #21381 - メールボックス crm_test@crm.techbank.jp を開いています。
02/01/2010 10:10:33 : #26090 - メールボックス crm_test@crm.techbank.jp を開くときにエラーが発生しました: Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.EmailException: リモート Microsoft Exchange 電子メール サーバーがエラー "(404) Not Found" を返しました。このユーザーまたはキューにはメールボックスがありません。メールボックスを作成してから、やり直してください。 --->
System.Net.WebException: The request failed with HTTP status 404: Not Found.
at System.Web.Services.Protocols.SoapHttpClientProtocol.ReadResponse(SoapClientMessage message, WebResponse response, Stream responseStream, Boolean asyncCall)
at System.Web.Services.Protocols.SoapHttpClientProtocol.Invoke(String methodName, Object[] parameters)
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeServiceBinding.ResolveNames(ResolveNamesType ResolveNames1)
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeWSConnector.IsCurrentUser()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeWSConnector.GetService()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeWSConnector.OpenMailbox()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangePollingMailboxProvider.InitExchangeConnector()
--- End of inner exception stack trace ---
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangePollingMailboxProvider.WrapException(Exception e)
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangePollingMailboxProvider.InitExchangeConnector()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangePollingMailboxProvider.OpenMailbox()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.CrmPollingMailboxProvider.Run()\r\nSystem.Net.WebException: The request failed with HTTP status 404: Not Found.
at System.Web.Services.Protocols.SoapHttpClientProtocol.ReadResponse(SoapClientMessage message, WebResponse response, Stream responseStream, Boolean asyncCall)
at System.Web.Services.Protocols.SoapHttpClientProtocol.Invoke(String methodName, Object[] parameters)
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeServiceBinding.ResolveNames(ResolveNamesType ResolveNames1)
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeWSConnector.IsCurrentUser()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeWSConnector.GetService()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangeWSConnector.OpenMailbox()
at Microsoft.Crm.Tools.Email.Providers.ExchangePollingMailboxProvider.InitExchangeConnector()
02/01/2010 10:10:33 : #19780 - メールボックス crm_test@crm.techbank.jp を閉じています。
Email Router におけるログ設定の詳細については、
Microsoft CRM Support Tool Info (英語)で紹介していますので、併せてご確認ください。
※ちなみに、上記アクセステストで出力されたエラー内容と下記のエラー内容の原因ですが、
EWS仮想ディレクトリに対するIISの認証設定、もしくはWeb.config の設定が間違っているために発生しているエラーになります。
EWSはデフォルトで、SSLを使用するように構成されていますので、
もし、SSLを使用しない設定で、 エラーが出てしまった!という方は、下記を試してみてください。
受信ステータス: 失敗:
リモート Microsoft Exchange 電子メール サーバーがエラー "(404) Not Found" を返しました。
このユーザーまたはキューにはメールボックスがありません。メールボックスを作成してから、やり直してください。
The request failed with HTTP status 404: Not Found.
SSLの利用状況に応じて、
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ee633481.aspx に掲載されている手順に従って、
EWS仮想ディレクトリに対するIIS設定と、EWS仮想ディレクトリのWeb.config の中身を修正してみてください。
ちなみに今回紹介しているエントリではSSLを無効にしている状態で紹介しています。。
SSL無効化手順:
1.IISでSSLを無効にする
2.EWS(%ProgramFiles%\Microsoft\Exchange Server\V14\ClientAccess\exchweb\ews)のWeb.config の中身を
「httpsTransport」から「httpTransport」にすべて置き換える
(私はこれに気付かなかったために、相当ハマりました。この手順を教えてくださいました、MSサポートさんに感謝です)
受信ステータス: 失敗:
Client found response content type of '', but expected 'text/xml'.The request failed with an empty response.
EWSの仮想ディレクトリに対する認証方式に、「匿名認証」と「Windows 認証」を有効にしてください。
(ちなみに、[ファイル名を指定して実行]で「inetmgr」と入力するとIISの設定を行える画面を表示することができます)
さらに、「Windows認証」の場合は、選択している「認証プロバイダ」と「カーネルモード認証設定」が下記図のように構成されていることを確認してください。
(メール)ルール展開方法について
これまで設定してきた内容は、
「Exchange Server は、Dynamics CRMとどのメールボックスを介してやり取りするの?」という設定でした。
今度は、「どのメールについてDynamics CRMとデータを紐づけるの?」 という振り分けルールを設定していきます。
振り分けルールが明確になっていないと、Dynamics CRMとメール連携ができないので、E-mail Routerをインストールした後、
必ず実施する作業になります。なおこれらの作業を、「ルール展開」と呼んでいます。
ルールの展開方法は、Exchange Server のバージョンによっても異なっています。
何故、Exchange Server のバージョンによって対応が違うのか?というと
Exchange Server 2010で、 MAPIの扱いが大きく変更されたため、Dynamics CRM Email Router に付随している
[ルール展開ウィザード]が これらの変化に対応しきれていない現状があります。
そのため、Exchange Server 2010に対して「ルール展開」するには、個別に対応を実施することになりますのでご注意ください。
詳しくは、KB97599 をご覧ください。 : http://support.microsoft.com/kb/975995/ja
Exchange Server 2007以下の場合:
Exchange Sever 2010の場合:
- 「ルール展開」を手動で行う必要がある
- Exchange Server に付随している Outlook Web Access(OWA) がIISにインストールされていること
ここでは両方のルール展開方法をご紹介します。
Exchange Server 2007以下の[ルール展開]手順:
- 後は画面の指示に従い、画面を進めるだけですが、「Microsoft Dynamics CRM Online」と設置型で指定方法が異なるのと、
[実行可能なタスクを選択してください]の画面で、メールボックスのルール検証を行い、問題がなければ、
メールボックスに対するルール展開を行うよう画面を進めていくのがポイントです。
- もし、ルール展開ウィザード実行中に、「ユーザーの既定のストアにアクセスできませんでした」または、
「ユーザーの MAPI プロファイルを作成できませんでした」というエラーが発生した場合、
MAPIをインストールしなおすか、もしくは、導入しているExchange Server のバージョンが
2007以下であることを確認してください。
Exchange Server 2010の[ルール展開]手順:
- OWA(Outlook Web Access) にアクセスします。
OWAのURLは環境によって異なりますが、デフォルトはSSL(https)から始まるURLになっています。
OWAのURL例:https://server-name/owa/
もし、SSL非対応(http)でOWAにアクセスしたい場合は、IIS と Exchange Serverの設定を変更する必要があります。
OWAを非SSL(HTTP)アクセスに変更する方法:
[インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャー]を開き、[Default Web Site] - [OWA]仮想ディレクトリを展開、
[SSL 設定]を選択します。その後、[SSLが必要]チェックボックスを外してください。
[Exchange Management Console]を開き、
[Microsoft Exchange] - [Microsoft Exchange OnPremise] - [サーバーの構成] - [クライアント アクセス]を選択します。
その後、[Outlook Web App]タブをクリック→[owa (Default Web Site)]のプロパティをオープン→
[内部URL]と[外部URL]をhttps:// から http:// に変更します。
もし、ECPにも・・・ というメッセージが表示された場合は、[Exchange コントロールパネル]タブの
[ecp (Default Web Site)]にある、[内部URL]、[外部URL]も https:// から http:// に変更します。
その際、IISのecp仮想ディレクトリに対しても[SSL 設定]を外すのをお忘れなく。
(owa仮想ディレクトリとやり方は同じです)
- OWAにアクセスする際、Dynamics CRMにもログインアカウントを持ち、
Exchange Server にもメールボックスを持っているユーザでログインします。
※Dynamics CRMの転送メールボックスで指定したメールボックス以外のユーザでログインしてください。
※今回の例では、Dynamics CRM と Exchange Server 両方にアカウントを持ち、
転送メールボックスにも指定されていない「べジータ」という第三者ユーザを使用します。
- OWAの右上にある[オプション]をクリックします。
- 左側のメニューから[電子メールの整理]を選択し、[新規作成]をクリックします。
- [新しい受信トレイ ルール]画面の下にある[その他オプション]をクリックします。
- [実行する処理]ドロップダウンリストから、
[転送、リダイレクト、または送信] → [メッセージの転送]を選択します。
- 転送先のメールボックスをダブルクリックで指定し、[OK]ボタンをクリックします。
「転送先のメールボックス」とは、Dynamics CRM のユーザ設定で[電子メールアクセス種類]に
[転送メールボックス]が設定しているユーザのメールボックスのことを指してます。
(このエントリでは、crm_test@crm.techbank.jp というメールボックスを指定しています)
- [新しい受信トレイ ルール]画面の下にある[ルールの名前]に、任意の名前を入力し、
さらに、[メッセージの到着時、および:] ドロップダウンリストに、Dynamics CRMと連携を行いたい
メッセージルールを選択します。
※この例では、「CRM_TEST 転送ルール」という名前で「ルールの名前]を入力しています
※また、この例では、[すべてのメッセージに適用]を選択していますが、Dynamics CRM 用と通常メールを区分けしたい場合は、
[すべてのメッセージに適用]を選択しないでください。できるだけ絞ったルールを適用するのが効果的です。
すべての指定が終わったら、[保存]ボタンをクリックしてください。
- OWAの [受信トレイのルール]画面で、作成したルールが表示されているのを確認します。
- 最後にルールを展開したユーザのDynamics CRM 設定を変更します。
ルールを展開したユーザのADアカウントでログインし、
http://server-name:portnumber/[組織名(表示名)]/ にアクセスします。
その後、Dynamics CRMの左横にある[ワークプレース]タブから、[ワークプレースの個人設定]
(ASP.NETでいうところのPersonalizeですね)をクリックします。
- [個人用オプションダイアログ]にある[電子メール]タブをクリックし、
転送先メールボックスに接続するための情報とどのようなメールをDynamics CRMで追跡(連携)させるのかを指定します。
以上で設定完了です。
これでExchange Serverのメールボックスに配信されたメールがDynamics CRM のデータと紐付いた業務運用ができるようになります。
それでは、軽く試してみましょう。動作確認を行う前に、念のため「Microsoft CRM Email Router」サービスを再起動 しておいてください。
(コマンドで、NET STOP MSCRMEMAIL → NET START MSCRMEMAIL を実行しても再起動できます)
実験手順1:外部メールもしくは、Exchange Server 内にいる別ユーザから、ルールを展開したユーザ宛(この例だとべジータ)にメールを送ってみます。
実験手順2:次に、ルールを展開したユーザ宛にメールが届いているか、OWAまたはOutlook等のメーラーを使って確認します。
実験手順3:さらに、この内容がDynamics CRMにも紐づいているか確認します。
ルールを展開したユーザのADアカウントでDynamics CRM にログインし、[ワークプレイス]タブから[キュー]を選択します。
すると、べジータさん宛に送信されたメールが、そのままべジータさんの未処理タスクとして割り当てられたことがわかります。
その反対に、べジータさん宛に「見積依頼」のメールを送信してきた「カプセルコーポレーション」のブルマさん宛に
べジータさんは返信を返すこともできます。その返信メールもDynamics CRM と自動的に紐づけられるようになるため、
CRMとメールと二重管理しなくて済む運用が可能になります。
(残念ながら今回は、その逆パターンをお見せする気力がないので紹介しませんが)
Dynamics CRM E-mail Router のまとめ
★E-mail Router があれば、メールとDynamics CRM を連携させ、一元管理できる体系を構築することができる
★E-mail Router は概念的にわかりやすいデプロイツールだが、エラー発生時のトラブルシューティングがまだまだ確立されていない。
★IISとExchange Server の概念を知らないと、結構痛い目に合います。
★Exchange Server 2010のルール展開は「ルール展開ウィザード」ではなく、手動で設定してあげる必要がある
★Exchange Server も E-mail Router もSSLの利用を推奨している。非SSLにするには、個別の対応が必要
★E-mail Router は、Exchange Server 以外のメールサーバーにも対応している。POP3 と SMTPが対応しているメールサーバーであれば導入可能。
ふぅ~。以上です。
ものすごく、長いエントリになってしまいすいません。それだけこのEmail Routerの導入はそんなに簡単ではないことがご理解頂けたかと思います。
Dynamics CRM製品を担当されているMSの関係者の方々(けろ-みおと面識のある営業さんとサポートさん)にいろいろと質問をしながら、
なんとかEmail Routerを導入する環境を構築することができました。
いろんなエラーとぶつかりながら、戦った1週間でしたが、今後、同様の問題で悩んでいらっしゃる方々のために、
そして、Dynamics CRM の今後の発展を祈願する意味も込めまして、このエントリを掲載させて頂きたいと思います。
次回は、CRMの業務の話を交えながら、Dynamics CRM のメリット・デメリットをご紹介できればいいなと思います。
最後までご購読頂き、有難うございました。