先日、かめたろさんらと飲みに行った際、かめたろさんから「Dynamics CRMの画面を見てみたい」という
リクエストを承りました。
確かに画面を見ながら覚えるのも大切なのですが、その前にある程度、CRMの概要を抑えておく必要があります。
(CRMの概念・背景を理解しないと画面項目見ても意味が分からなくなっちゃうので)
また、今日までに様々なSIベンダーからCRMパッケージが発売されていますが、
何故、多くの企業からCRMパッケージが発売されているのか?
そして、SaaS型のCRMを展開するSalesFource.comやMicrosoft Dynamics CRM Online との違い、
私が過去に携わったことがある某パッケージとの違いも含め、けろ-みおの個人的な視点でCRMの世界を考察したいと思います。
いろいろとうさんくさいこと言ってるかもしれませんが、間違いがあれば、コメント欄にご指摘頂けると有難いです。
■CRMの市場
CRMの正式名称は、「Customer Relationship Management」、すなわち「顧客関係管理」です。
主に「コールセンター」を持っている企業で導入されている傾向がありますが、
「顧客管理システム」もしくは、顧客情報を取り扱う「アプリケーションパッケージ」の総称として
「CRM」と呼ばれるケースがあります。
(経営層の視点からみると「企業戦略」を手助けするツールの総称として 呼ばれることもあります。 )
「コールセンター」と聞いて一番初めに思いつくのは、ショップチャンネルやニッセン等、TEL一本で
欲しい商品を注文できる通販業者、もしくは、なんらかの顧客サポート・サービスを行っている
企業に設置されている印象が強いのではないかと思います。
顧客は欲しい商品があればTELで注文しますが、その時、TELで応対してくれるのは「オペレーター」と
呼ばれる方々です。CRMの世界では、TEL応対するオペレーターはじめ、
販売や企画、見積等を行う営業スタッフのことを「ユーザ」、注文してきたお客様や
取引している取引先企業のことを「顧客」と 呼んでいます。
これらは、どのCRM製品でも共通した呼び方です。
ところで、このBlogをご覧になっている皆様もこんな経験ありませんか?
例1:
TV通販を見て、「あ!この商品欲しいから商品番号を控えて早速、TELで注文しよう!」
↓
フリーダイヤル用の番号でTEL
↓
しかし、なかなかオペレーターに繋がらない
↓
10分~30分待たされる
↓
ようやくつながったと思ったら、商品が売り切れていた
例2:
なんらかのサービスに加入しているが、そのサービスに対する問い合わせがしたくなった。
↓
TELでないと承ってもらえないサービスだったので、サポートセンターにTELする
↓
どのようなご用件か自動音声が流れるので、指示に従い番号を押す
↓
しかし、なかなかオペレーターに繋がらない
↓
10分以上待たされる
↓
ようやくつながったと思ったら、担当部署ではないのでわからないと言われる
↓
他の部署にTELを転送される
↓
しかしそこでも担当部署ではないと言われ、たらい回しに他部署に回される
↓
ようやく担当部署だと思った瞬間、問い合わせ内容を担当オペレーターがなかなか理解してくれない
↓
TELで問い合わせてから1時間以上経過していた
なんて、経験ありませんか?
例1の場合は、某大手TV通販専用チャンネルで私が実際に経験したことのある体験談ですが、
この場合、オペレーターになかなかつながらなかった考えられる原因として、
1.オペレーターの対応スピードの遅さ
2.導入しているCRMの操作性・レスポンスの悪さ、応対マニュアル(KB)がCRM内に用意されていない
3.導入しているCTI(Computer Telephony Integration / TELやFAXをコンピュータと統合する技術)の問題
4.その日、待機していたオペレーターが教育終えたばかりの慣れないオペレーターだった
5.単純にその日、待機しているオペレーターの数が少なかった
等が考えられます。4.と5.に原因がある場合は、そのサービスを展開している企業の体制に問題があるので、
無視するとして、1.~3.はCRMに大部分の問題があるケースが多いのが特徴です。
酷い企業だと「Accessで顧客管理システムを構築していた」企業もありますが、殆どの企業では
「まともなCRMパッケージを導入し、(SI会社に依頼して)カスタマイズもなんとかしてもらったはずなのに
業務の効率化が図れない。多額のお金を支払ったのに・・・」と思われている企業が非常に多いという
悲しい現実があります。
例えば、CRMパッケージ内に「顧客名」という画面項目がある場合、企業によっては、
「お客様名」「取引先名」の方が良いと言う場合があります。
この場合、SI会社にカスタマイズを依頼し、項目名を変えてもらうわけですが、
たった1つのキャプション(画面項目名)を変更するだけで、数万円~数十万円を請求されるケースも珍しくありません。
結果、少しのカスタマイズで予算を食いつぶされてしまい、根本的なカスタマイズを行えないまま、
本番運用の日を迎えてしまった・・・ というところもありました。
また、CRMパッケージのカスタマイズ事態に限界があり、お客様のご要望にお応えするにはパッケージの母体
そのものを改変しなければならないことも多く、結果、パッケージが持っている本来の品質を損ねてしまった・・・
という失敗経験をされた方も多いのではないでしょうか。
元々、できること、できないことをきちんとユーザ側に説明した上でカスタマイズを行えばこんなことにはならなかったんじゃないか?
と思われると思いますが、世間は何事も組織社会ですので、ユーザやSI企業の経営層あるいは上層部の命令・指示には
従わなければならないこともあります。
そうなると「○○だからできない」という意見さえ、言わせてもらえないケースもあるのではないでしょうか。
それ以外でも、CRMパッケージの画面構成があまりにもコアテクノロジーを使いすぎていて、
「レスポンスが遅い」と何度もClaimを頂戴したこともあります。
(これは、けろ-みおの実際の体験談です。結果セットをCOMを介してXMLで受け取り、そのXMLを非同期通信でクライアントに返し、
XSLTを適用して画面レンダリングさせていた感じです。当時にしては画期的な技術を使ったパッケージでした。
当時はXMLがまだ主流になっていなかった(.NETも出ていなかった)時代でしたので。)
このお客様は帯域の細いVPNを通じてCRMパッケージを稼働させていましたが、
当時は、ネットワークとハードウェアが現在ほど進化しておりませんでしたので、
時代にミスマッチなパッケージを導入させられたという印象をもたれたようです。
パッケージ自体もVPNを使用する想定で作られてなかった(LAN内で使用する想定で作られていた)ため、
ユーザ様の業務ストレスが日に日に溜まっていたのを今でも鮮明に覚えています。
その後、ネットワーク圧縮技術(IISのコンテンツ圧縮を行う3rd Party製品)を使って、
なんとかレスポンスを改善させた経験はありますが、クライアント側でレンダリングするパッケージだったこともあり、
今考えると、端末の性能とレンダリング手法そのものにかなり問題があったんじゃないかと思いました。
(一応、Webアプリケーションだったので)
以上、私の過去の経験談からもわかるように、
「企業のニーズや業務にあった最善のCRMパッケージがなかなか見つからない」
というユーザの不満を解消するため、本来CRMをやっていなかった優秀なSIベンダーやソフトウェアベンダーが
CRMパッケージの世界に名乗りを上げてきたというのが現在の状況です。
また、CRMは、ERPほど業務知識が複雑でないことから、一番販売しやすいパッケージであったんじゃないかと思います。
マイクロソフトがDynamics CRM を販売したのも、だいだい同じような理由から来ています。
(「Dynamics CRM 4.0 徹底解説」という書籍に書いてありました)
多くのユーザさんから優れたCRMパッケージを作って欲しいという要望を受けたとか、受けないとかw
詳しいことは、「Dynamics CRM 4.0 徹底解説」をご覧になってみてくださいw
■設置型(オンプレミス型)とSaaS型
昨今のCRMパッケージは主に、設置型(オンプレミス型)とSaaS型という2種類の展開方法が用意されています。
パッケージによっては、設置型のみ、SaaS型のみというものもありますが、
Dynamics CRM の場合は、両方に対応しているのが強みです。
設置型は、名前の通り、自社内にサーバーを設置し、CRMパッケージを展開する形式です。
重要な顧客情報を取り扱う等、セキュリティを重視した運営を行いたい場合は、設置型を選ぶと良いでしょう。
セキュリティが守られる反面、ハードウェア費、保守・運用費用が高くついてしまうデメリットがありますので、
予算と相談しながら判断して頂きたいところです。
一方、SaaS型は、CRMパッケージを外部サーバーにホスティングするサービスです。
初期投資費用、保守・運用費用が安価で済む反面、セキュリティリスクは設置型よりも高くついてしまうデメリットがあります。
代表的なものとしては、SalesFource.com や Microsoft Dynamics CRM Online 等があります。
SalesFource.com の画面特徴としては、画面デザインが地味で、1画面あたりの入力項目数が多いデメリットがあるものの
レスポンスが良く、非常に安価であることが特徴です。取り扱うデータ数が膨大でなければ、
是非、SalesFource.com のサービスをお勧めしたいところです。
ただSalesFource.com の場合、一度デモ機能を試してしまうと、その後、営業さんからの
コールバックがうるさいので、軽い気持ちでデモを試さない方が良いです。
前向きに導入を検討する気持ちを持ったうえで、デモをご覧にならないと結構大変ですということを付け加えておきます。
一方、Microsoft Dynamics CRM Online は、SPLA(スプラ)契約をマイクロソフトと取り交わしている
企業がホスティングを運営できることになっているそうです。
(この話は、うちの社長から聞きました。敷居が高いと嘆いてましたが・・・)
そのため、もし、Dynamics CRM Online としてホスティング運営を考えていらっしゃる場合は、
SPLAとマイクロソフトとのパートナーシップを締結する必要がありますので、ご注意ください。
利用者側の立場で見ると、Microsoft Dynamics CRM Online の場合、Windows Live ID を使って、
ログインすることになるので、ADのアカウントと紐づけられないできないデメリットが生じます。
また、使用するホスティングによっては、先日紹介したEmail Router のような機能が一部制限されていたり、
あるいは使用できなかったりするので、ホスティングを提供しているサービスや企業を十分調査してから
導入した方が良いでしょう。
ともあれ、Microsoft Dynamics CRM Online も、SalesFource.com 同様、初期費用・保守/運用費用が安価で済むことは
間違いないので、インフラにあまり費用をかけたくない場合は、SaaS型の方が断然良いです。
ちなみに、設置型・SaaS型、どちらを選択しても、カスタマイズにかかる費用は変わりません。
カスタマイズを委託するSI企業をきちんと選択したり、あるいは入札制度を使用して選定する等の工夫は
以前と変わらず必要だということを念頭に置いて下さい。
ただ、Dynamics CRM の場合は、ノンプログラミングでユーザ自身がカスタマイズできる機能が搭載されているので、
簡単なキャプション変更、項目追加程度のカスタマイズであれば、SI企業に依頼しなくて済む可能性はあります。
そこは、業務プロセスと予算とDynamics CRM の機能と相談になりますかね。
■CRMの業務領域って?
恐らく下記のことさえ覚えておけば、基礎知識としては大丈夫です。
・顧客/取引先(企業)
Dynamics CRM では、「取引先」または「潜在顧客」と呼んでます。
某パッケージの場合は、「顧客」という画面の中に「個人」か「会社(企業)」を選択できる項目があるので、それで切り分けています。
・サービス/サポート/問い合わせ/営業案件 等 (これらをインシデントと言います)
Dynamics CRM では、「サービス」と「サポート」の画面はありますが、「問い合わせ」がない。
某パッケージの場合は、「サービス」「サポート」「セールス」でした。
・製品(Product)
Dynamics CRM では、製品の画面は未確認。(あるのかもしれませんが、見る限りないっぽい)
某パッケージの場合は、マスタ的扱いで製品の登録をできる画面がありました。
・サーベイ(アンケート)
Dynamics CRM では、応対マニュアルをKB化する機能があるので、それを使用する。
某パッケージの場合もテンプレート化して使用しますが、アンケートした内容をチェックボックスでチェックしていく機能がありました。
・タスクまたは結果(サービス/サポート/問い合わせ等のインシデントに対する行動結果)
Dynamics CRM の場合、結果入力画面と対応するスケジュールを一目で見ることができます。
また、「ワークプレース」タブから自分に割り当てられたタスクを閲覧することもできます。
某パッケージの場合は、インシデントにタスクが1:1で紐づけられていました。
・キャンペーン
Dynamics CRM にも、某パッケージにも、専用のキャンペーン情報登録画面がありました。
Dynamics CRM が優れているのは、キャンペーンにおける顧客の反応結果に応じて、
そのまま顧客情報と営業案件を自動作成(自動変換)できてしまうところ。
今まで私がやってきたCRMパッケージの中でも、この機能を搭載しているのはDynamics CRM だけ。
・InBound (インバウンド)
例えば顧客からTELやメールがあった時に使われる用語です。
先日紹介したEmail Router は、InBound をサポートするライブラリと言っても良いでしょう。
・OutBound(アウトバウンド)
例えばオペレーターさんや営業さんが顧客に対し、TELやメールをする時に使われる用語です。
先日紹介したEmail Router はOutBound もサポートしているといえばしているのですが、
データ的に正しくOutBoundを取り扱いたい場合、Dynamics CRM の場合、キャンペーンを作成しないと
OutBound 対象データを作成できないみたいです。
(この辺りは、はじめてDynamics CRMを触った時から私が一番気に入らなかったところ)
他にもいろいろありますが、機能(業務)用語としてこれだけ覚えておけば、大丈夫でしょう。
細かいところは、追々やりながら覚えればなんとかなる!と思いたいw
長くなりましたが、まずは画面を見る前にこれらの説明を読んでおけば、今後紹介する
Blogエントリが少し楽に読めるはずです。
次回からは1つ1つの画面を紹介し、最終的にはカスタマイズがどこまでできるのかご紹介させて頂きたいと思います。